ブライアン・オーサーって知ってます?

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羽生結弦選手のショートプログラムが始まった時、僕はちょっとドキッとしました。
まず選曲が「センスいいな」と思った。
振り付けも、なんだか「男子」って気分じゃない。
妖艶というか。官能的というか。羽生結弦は名前からしてアニメキャラをそのままリアルにしたような人だけども、その妖しい魅力が100%引き出されていると感心したのです。
そして、このかんじ、何かに似てるなと。

それはすぐわかりました。
バンクーバーのキムヨナ選手の演技です。
彼女の「007」の選曲と振り付けを目にした時、僕だけでなくおそらく日本中に何とも言えない「やられた感」が漂ったと思います。そういう手があるのかと。彼女の魅力全開じゃないか。
あんなものを見ちゃうと、我らが浅田真央選手の選曲と振り付けは、なんだかありきたりのものに感じられ始めて…。

2人の金メダリストの演技に共通性があるのもそのはずで、コーチや振り付け師などのスタッフが同じなんですね。
ブライアン・オーサー氏という元銀メダリストを中心とするカナダ人スタッフ。
彼らが「金請負人」だったわけです。
当時(今でもですが)キムヨナの最大のライバルは浅田真央。
彼女はタレ目でゆるふわ系というか、乙女チックな魅力を持っている。
対するにキムヨナは猫目でキリッとしたボーイッシュな魅力。
そこをはっきりと際立たせるために、世界で最も有名な殺し屋のテーマ曲と振り付けを持って来たわけです。
そして、ソチのフリーでは羽生結弦の妖艶な魅力を際立たせるために世界で最も有名な官能劇のテーマ曲と振り付けで勝負をかけた。
そういうことでしょう。
彼らの発想はシンプル。でも最高のプロのものだと思います。
僕は高橋大輔選手の演技にホレボレしましたが、「なぜビートルズじゃないといけなかったか」という問いへのロジカルな答えは特にない気がします。
他の多くの選手のそれも同様に。

ブライアン・オーサーという人、韓国ではかなりの有名人のようで、キムヨナといっしょにCMに出たり、市民賞のようなものももらったりしているみたいです。
が、日本ではほとんど知られてないようですね。
ググっても羽生結弦がらみではあまり出て来ません。
元キムヨナのコーチに金を獲らせてもらった、というネタは日本では受け容れにくいのでしょうか?
僕はそのプロ感覚に敬意を覚えますが。