もうずいぶん前、まだ独り暮らしだった頃、夜中に電話が鳴った。こんな時間に誰だろと思いつつ「もしもし?」と応えたが返事がない。切れてるわけではない。電話口の向こうからかすかに、「はあ…はあ…はあ…」と吐息のようなものが漏れ聞こえてくる。「どなたですか?」と聞いても反応が変わらない。僕はピンと来た。これは…母親に違いない!と。その頃うちの両親は非常に不和で、いつも離婚するだの何だのともめていたので、母が電話の向こうでしのび泣いていると思ったのだ。「母さん!母さんだろ?母さん!」と僕は叫んだ。そのとたん、ぶつりと切れてしまった。その後しばらくして、やっと得心できた。あれは変態電話だったのだ。僕はおかしくなってきた。変態もさぞびっくりしただろう。まさか「母さん」という言葉が返ってくるとは思わなかったに違いない。それに、男にとって「母さん」というのは最強に「萎える」言葉なのだ。
今日、大病院の泌尿器科に行った。2年ほど前から睾丸に水がたまるようになって、それは陰嚢水腫といって特に害のない病気なんだけど、完治させるために手術の申し込みに行ったのだ。泌尿器科の先生を僕は非常に尊敬する。他人の男のあれを素手で触れるというのはいかに職業といえどすごい。でも、若い女医となると感心ばかりもしてられない。反則だ。エコー検査であそこをぐりぐりされて僕はちょっとヤバい感じがしてきた。万が一にも反応しちゃったら大変じゃないか。それで僕は邪念を払うために微分積分を思い出そうとした。しかし高校の数式など思い出せるわけがなかった。次に僕は母親の顔を思い描いた。一気に萎えて、無事に検査は終わった。
女性達に覚えていてほしいこと。もし暗がりで痴漢に出会ったら、こう叫ぶといい。「母ちゃん!」。それで男はほぼ萎える。これより強力な痴漢撃退法は存在しないのではなかろうか?ぜひACでもCM化を検討してほしいものだ。
最強の痴漢撃退法
2011年10月13日 | 1 Comment