なぜ「戦争特集」は8月なの?

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今年は戦後70周年。
ということもあり、この8月はTVでも戦争をテーマにした特番やドラマが目白押しです。

でも僕はどうも毎年、8月の戦争特集に違和感を覚えます。
「もう戦争はしてなるまいぞ」
という決意を固めるためにそういう特集期間を設けることじたいはとてもいいことと思うのですが、なぜそれが「終戦日」周辺の月なのかと。
なぜ「開戦日」周辺の月じゃないのか?と。

だいたい戦争特集で描かれるものは特攻隊、空襲、原爆、といった悲劇ですが、「酷い目に遭った」ことなんですよね。
「酷い目に遭わせた」ことではない。
それはやはり「終戦」に近いところを描くからそうなるのであって、結果的に皆の心に残るのは、酷い目に遭ったからよくない、負けた戦争だったから反省する、ということにしかなってないんじゃないかと感じるわけです。

僕は、南京の30万人虐殺とかは信じてませんが(証拠がないし、混血児がいないなど理屈に合わないことが多すぎるので)、程度はともかく旧日本軍がアジア各地で非道なことをやったのは否めないでしょう。
そこのところを国民皆で反省するなら8月はさほどふさわしくないのでは。
戦争は酷い目にも遭うけど、相手を酷い目にも合わせる、そこを思い出すにはむしろ「開戦日」周辺に特集をやるのが合理的な考えなのでは、ということです。

では12月8日なのか。
それも違う気がする。
1942年12月の時点で、日本はアジアをすでに蹂躙し始めていますので。

日本の戦争拡大はどこから始まったか、には諸説あると思いますが、日本という国がおかしくなった最大の契機は何と言っても満州事変でしょう。
軍部が勝手に仕掛けたことなのに、政府はそれを追認してしまった。
もしここで首謀者が裁かれていたら、盧溝橋も大東亜戦争もなかっただろうと僕は推察します。
ところが軍が現地判断で何を仕掛けても許されるという既成事実ができてしまったために、軍部、特に陸軍の独走を抑えられなくなり、マスコミや国民もバンザイバンザイで盧溝橋事変、上海事変、インドシナ進駐、そしてパールハーバーへと突き進んでいく。
要するに日本は調子に乗ったわけで、戦争を反省するということは、「調子に乗っちゃいかんぞ」という戒めでしょうが、それを皆で思い出すなら満州事変の起きた9月18日がふさわしいのではないか、などと思うわけです。

そうすれば中国も悪い気はしないでしょう。
韓国はわかりませんが・・・。
僕は日露戦争までは防衛戦争であった気がしますが、ここについても諸説あることは認めています。

いま、日本は安保法案問題で揺れていますけど、皆で考えるべきは「開戦」のありようについてですよね。
「終戦」にばかり思いを馳せていては、案外と将来の役には立たないのではないかと。
そんなことを思ったりします。