俺のハラスメント

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今年は異常な忙しさで、
「これ以上働くと病むぞコレ」
というとこまで行きました。
それでブログも書く余裕がほとんどなかったんですが。
こういうニュースが出て来ちゃったので、いろいろ思うところあり…。

はあちゅうが著名クリエイターのセクハラとパワハラを証言 岸氏「謝罪します」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171217-00010002-bfj-soci&p=1

まず、はあちゅうさんに同情するし、事実だとしたら当然あってはならないこと。
そこは言うまでもなく。

広告業界で何か問題が起きたときにホント困るのは、十把一絡げにされちゃうんですよね。
僕も著名クリエイターの末席にいたりするので、
「どうせ小霜も同じようなことやってるんだろ」
みたいに思ったり言ったりしてくる人いるんです、きっと。
高橋まつりさんの事件の時も、あれについては僕は1ミリも関わってないし、一切責任ないのだけど、
「お前は最低の人間だ」
といった匿名メール来ましたもん。
確かに僕は電通の仕事も引き受けてますよ。
でもそれだけで責めるのなら、電通と取引している数十万人に同じメールを送るべき。

ちなみに僕は自分のポジションを利用して女性に手を出したことは一度たりともないです。
主な理由は、カッコ悪いから。
個人的な美意識では、それよりキャバで振られてる方がまだマシ。

しかし、打合せで暴言を吐いて、誰かを傷つけたことはあったかもしれない。
もしそういう人がいらしたらお詫びしたい。
言葉ってその人の心の中に残り続けたりするから、それが悪い方に行ったのならば、罪深いことをしたと責められても仕方がありません。

正当化するわけではないですが、広告のCDは心理学で言うところの「トンネリング状態」に入りがちなんです。
コンペを獲らなきゃいけない、いいアイデア出さなきゃいけない、クライアントと監督、タレントの言い分を着地させなきゃいけない、などなどのプレッシャーで周囲が見えなくなるわけです。
最近は電通が悪者扱いされがちですが、プロダクションの扱いとかは、博報堂もそうとうに酷かったですよ。
今は改善されてると思いますが。
クリエイティブで勝たなきゃいけないという切迫感がおかしくしてたんでしょう。
夕方プランナーたちを呼びつけて、CDが酒飲みに行って「戻るまでに考えといて」。
で、解放されるのが朝、みたいな。
「博報堂のすごい打合せ」ってタイトルの本が出てるみたいですが、タイトルだけで殺意を覚える人は数百人はいるんじゃないでしょうか。
僕はそういう無駄な打合せが大嫌いで、人の時間をむやみに奪うのもハラスメントだと思っているので、自分がCDとして仕事するときは極力コンパクトな打合せになるよう心掛けてます。
それでも博報堂に在籍していたというだけで十把一絡げにされて責められることあります。

また、思うに、ハラスメントというものの考え方も難しい。
僕の暴言を最も受けたのはやっぱ小西だろなあ。
「こんなコピーただのゴミだ、森林の無駄遣いだ、地球に謝れ!」
ぐらい言ってたからなあ。
その次は佐々木だなあ。
「脳味噌の作りがおかしいんじゃねえの?」
ぐらい言ったなあ。
でも、メシは毎晩奢ってた。
結果的に小西は独立してPool成功させたし、佐々木は100万部以上売るベストセラー作家になったし、僕の弟子だった頃の「ハラスメント」が何らかの下地を作ったかもしれないなあ、とも思う。
二人ともそこは否定しないはず。
だから、すまんかったな、というのはあまりないかな。
ただ彼らはハートが強かったから。
振り返って、もっと線の細いヤツらだったら潰れてたかも、と思うとちょっと怖くなります。
モヤモヤします。

僕の無料広告学校には「叱られたい」という動機で応募してくる人が以前よりも多いです。
上司がビビって説教できない、そういう時代の中で、叱られないと得られない、そう考える若い人もいるわけです。

じっさい無料広告学校では「無料」をいいことに僕は歯に衣を着せるという物言いを全くしません。
もちろん少しでも育ってほしいという、愛みたいなものがモチベーションになってるわけですけど、残念ながらついていけないと途中でやめる人が毎期1~2人はいます。
そう言えば今期はまだ一人もいないな…。
キツいことやらせてる自覚はあるので、そのぶん面倒見ることになります。
メシ奢ったりとかは当たり前で。
Webサイトでは「就職の斡旋はしない」ということにしてるけど、実際はやってます。
面接ではこう言えよ、とかアドバイスして電博に入ったヤツらもゴロゴロいます。
中途入社の課題を一緒に考えてやったりまでします。
頼られたら、断るわけにいかないから。
ところがそういうのに恩義を感じて時間が経っても交流あるようなヤツらはまあ、半分ってかんじかな…。
ハラスメントって、当事者が傷ついたらハラスメントだって話を聞いたことありますが、僕はいつも盛大に傷ついてます。
ただ傷つけあってるだけかもしれないな。
じゃあ何でやり続けるんだ、て聞かれると、何ででしょうかねえ。
それでも「ありがたい」と感じるヤツらが多少はいるから、かな。

地位を利用した「パワー」ハラスメントで言えば、広告主のエージェンシーへのハラスメントはまだまだ酷いものがありますね。
いや、広告主、だいたいはいい人たちなんですが、やはり人間として許せないレベルの人も中にはいます。
そういう人からハラスメント受けてると、いつの間にかそれが基準になって、下の人に対する気遣いができなくなっちゃうんです。
鈍くなる、ということですね。
広告業界のハラスメントの構造は、そういうことかもなあと思います。
気をつけなければいけません。
みんなも、僕も、改めて。