若者投票行動についての誤解ないですか

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選挙になると、家族が僕に聞いて来ます。
「どこに入れるの?」。

僕は決して家族に、
「この党に入れろ」
とか、
「この党に入れちゃダメだ」
などとは言いません。
でも、家族は僕の投票行動を気にするし、影響を受けます。

その理由の一つは、家族の中で僕が最も社会を知っていると思っているからです。

若者の投票率が低いと嘆く人は多い。
その要因には、高齢層より相対的に忙しいとか、複合的なものがあるでしょう。
でも大なるものは、自分たちは世間知らずなのだという若者たちの謙虚に過ぎる自覚だろうと思います。
彼らは怠け者なのではなく、上の世代を信じる「いい子」たちなのであって、親・祖父母世代の方が自分より「わかってる」のだから、信託しますよ、という無垢な心情を持っているのではないでしょうか。

もし若者が投票について相談するとしたら、親以外の誰がいます?
学校で政治の話はタブーとなりました。
メディアも中立報道の監視をされてますよね。

また普通、親は子どもにお金を遺そうとします。
僕も、働くモチベーションの半分ぐらいはどれだけ子どもたちに財産を残して死ねるかですもん。
もちろん遺産はお金だけじゃなく、有形無形のものがあります。
投票行動も子どもたちのことを思ってしてくれるだろうと若者たちは信じているんじゃないでしょうか。

シルバー民主主義は多数決をだんだん無意味化していってますけども、子どものいない年配層は今や多く存在しても、親や祖父母のいない若者は少ない。
そこに気づかない若者たちはシルバーを信じるわけで、シルバー民主主義はこの非対称性で成り立っている、というのが自分の仮説です。
そうでなければ、10代の有権者が加わる中で、若者に負担を強いる傾向のある与党がさらに躍進する理屈がわかりません。

とりわけリベラル支持者は、
「選挙に行け」
と若者たちを駆り立てようとする傾向がありますね。
そして選挙後に期待せぬ結果が出ると、ほぼ必ず、
「若者が選挙に行かないからだ」
と嘆きます。
シルバーは保守支持、若者はリベラル支持という構図を信じ込んでいるかのようです。
でも、高い意識で「〇〇党に入れよう」「〇〇党に入れてはいけない」と自己判断できる人たちが、同世代が投票所に行けば同意識を持つ、と信じていたらそこには誤解がある気がします。
選挙前の調査で10代有権者の6割が与党支持、というデータがあったように記憶していますが、彼らは親・祖父母世代の投票行動に倣おうとしたんじゃないでしょうか。

では、どうやれば、どうなれば、若者は自分自身の判断で投票行動をするようになるのか。
それは、
「もう親・祖父母世代が信じられない」
と強く確信した時でしょう。

そういう意味で、英国の投票率は、上がっていくと予測します。
が、日本では参院選の結果がとんでもないものと顕かにならない限り、若者たちはモラトリアムを守り続けるような気がします。
そして次は憲法改正の投票が待っているかもしれません。
今後、ますます僕ら親世代こそが若者層の視線を意識しながら、子どもたちへの遺産形成と捉えて投票行動をしていくしかないと思っています。