小霜が愛して止まないコミック2019

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僕は平均して一日に一冊コミックを読みます。
それで、「いまどんなコミックが面白いですか?」とよく聞かれます。
その人のことをよく知っていれば、「〇〇さんはこれを読むといいんじゃないかなー」と、コミックコンシェルジュ的なことをしますが、ほぼ外れません。
「あれはよかったですー!」と感謝されること多いです。
今年もいろんな方にお世話になりました。
年末に感謝を込めて、2019年末現在、小霜が愛して止まないコミックを披露してみようかと思います。
万人が「面白い!」と感じるコミックはないでしょうけども、あなたのコミックライフ(?)の何らか参考になれば。
*現在連載中のものに限りました
*連載開始時期は古いかもしれません

SHIORI EXPERIENCE~ジミなわたしとヘンなおじさん~(1) (ビッグガンガンコミックス)

連載開始してもう5年以上経ちますけど、これはあらゆる角度から非常によくできたコミックです。
地味な音楽教師にジミヘンの霊が宿って、超絶ギターテクができるようになる、という馬鹿げた設定。
それで昔志したバンドをもう一度学校で編成しようとするのですが、これが、笑えるし泣けるんですよね。
ほぼどんな人も「いい!」って言ってくれるんじゃないかと。
こういうのがスピリッツやモーニングじゃなくビッグガンガンというマイナー誌から出て来たところにこれからのコミックの可能性を感じます。
ジミヘンだとかカートコバーンだとかが登場するし、権利関係とか考えるとアニメ化・ドラマ化は不可能と思われます。
おそらくコミック止まりだし、おそらくそれがゆえになかなかメジャーにならないのですが、コミックだけでじゅうぶん楽しめます。
音楽で元気でる系では「BLUE GIANT」もそうとういいです。

 

Dr.STONE 1 (ジャンプコミックス)

謎の光線によって人類が石化してしまい、数千年が経つ。
その石化が解けた少年は科学の知識がハンパない天才で、原始時代に戻った地球をゼロから文明社会へと発展させようとする。
たとえば自動車を作るためには何が必要か?というロードマップを書いて、そのための原料を採取しに行き、一つ一つ完成させていく。
それを妨害しようとするヤツらとのバトルもあり、お笑いもありで、何というか「男の子のためのコミック」です。
正直、ジャンプ系は友情・努力・勝利の定型があまり好きになれないのだけど、これはただケンカするだけじゃない努力と勝利を目指していて、とても斬新。
少なくとも嫌いだと言う人はほぼいないのでは。

 

お別れホスピタル (1) (ビッグコミックス)

回復が見込めずただ死期を待つだけの患者ばかりが集められた病棟のお話。
第1巻で衝撃を受けました。
フィクションなんでしょうけど、実際にそういうエピソードあるかもなーという不思議なリアリティと説得力がある。
作者はアスペルガーか何か精神をやや病んでいて、それを公表していますが、人を観る視点が常人とはちょっと違う気が。
作者が高校生の頃バイトで働いていた新生児クリニックの話「透明なゆりかご」もオススメ。

 

ゴールデンゴールド(1) (モーニングコミックス)

瀬戸内海の寂れた島に福の神が現れる。
島はなぜか本土から環境客が押し寄せどんどんリッチになっていく。
ただ、そこにはどこか禍々しいものがあって、どういう結末を辿るのか目が離せません。
ものすごく奇妙な引き込み力のあるコミック。

 

GIGANT(1) (ビッグコミックス)

タイトルの「GIGANT」が何を指しているのか表紙からは全くわからず、「若くてチャラそうに見えるけど人として器のでかい女の話かな」とか勝手に思ったのですが。
まるっきし違ってました…。
作者がデビュー時から「乳」に並々ならぬ執着を持っていたのは知っていたのですが、まさかそれを発散するためだけの作品を描くとは。
世界観は「いぬやしき」に似ているけど、それよりとんでもない怪作です。

 

あげくの果てのカノン(1) (ビッグコミックス)

高校の先輩への想いが断ち切れない女の子のせつない心情を描いているのですが、舞台は近未来、異星人の侵略で荒廃した地球というとんでもない設定。
先輩は異星人を排除する防衛軍に属していて、身体のほとんどが機械になっている。
展開もとんでもないことが続く。
これもまた怪作と言っていいでしょう。

 

便利屋斎藤さん、異世界に行く  1 (MFC)

個人的には、もしかするとこれが今年のNo.1かもしれません。
昨今はファンタジーモノの秀作も増えて来てますが、これはハッピーな読後感を求める人にオススメ。
元いた世界ではただの鍵開け屋で誰からも必要とされなかった齋藤さんが、ファンタジー世界ではパーティにとってなくてはならない存在となる。
ちょっと泣けてくるんですよね…。
残念なのは、1巻はそうとういいんだけど、2巻がダメ。
便利屋としての活躍が全く描けてない。
期待してただけに…(T^T)

 

ゴブリンスレイヤー 1巻【期間限定 無料お試し版】 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

ファンタジーモノのダーク系で秀逸なのがこれ。
怪物の中で最も低位で最も弱く、冒険者から相手にされないゴブリンは、最も残虐な存在。
そのゴブリンだけをひたすら狩る男の話。
読後感はスカッとして、鬱にはならないです。

 

終末のワルキューレ 1巻 (ゼノンコミックス)

神代表の13名と、人類代表の13名がタイマンして、もし人類が7勝できなかったら滅ぼされるという、これもまたなかなかの設定。
戦う組合せに意外性があって、「そう来たか」というアイデアがある。
画はけっこうB級感あるんだけど、それがかえっていいのかもしれません。
一度読み始めるとちょっと抜けられません。

からかい上手の高木さん(1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

いつも教室で席が隣同士の中学生男女。
女の子は男の子をからかって楽しみ、男の子はやり返そうとするけど空回り。
そんなカタチで気持ちを伝えようとする二人のやり取りにほんわかする。
連載開始からけっこう長いですが、よくネタが尽きないなと感心。
業界のダークサイドでささくれ立ったココロを癒やすのに使わせてもらっています。
大人になってからの「からかい上手の(元)高木さん」もグッド。

 

イサック(1) (アフタヌーンコミックス)

ここ数年、なぜか西欧歴史モノがいろいろ出て来てて、けっこうなヒットを飛ばしてます。
ヴィンランド・サガ」しかり、「乙嫁語り」しかり。
以前はそういうテーマは読者が少ないということで日の目を観ることは少なかったはずだけど、僕のような固定ファンが一定層いるということでしょうか。
歴史モノは、史実に忠実なリアリティがないとマニア心をくすぐりません。
徹底したノンフィクションと、主人公が活躍するフィクションのうまいバランス取りが必要だと思いますが、これはそこがすごく良くできてます。
似たところでは、連載は終わりましたが「乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ」もなかなかです。

 

フラジャイル 病理医岸京一郎の所見(1) (アフタヌーンコミックス)

医療コミックは数多くあって、たぶんそのほとんどを読んできたと思いますが、僕はこれが一番好きかな…。
主人公はカンファレンス荒らしだと臨床医から目の敵にされる病理医。
カンファレンスに出席しては臨床医の診断に「その症状でその診断とは、新しい論文でもありましたかねえ」とかケチを付けてぶち壊しにする。
患者が救われるとかそういう話ではなく、医療を支える裏方を極力クールに描いている。
僕も若い頃は褒め合いのクリエイティブボードで「その表現はどうですかねえ」とかケチを付けて総会屋などと言われていたもので、自分を主人公に投影しているのかもしれません。
ちなみに2年前ぐらい、フジテレビでドラマになりましたがあれはひどかった…。
ドラマ化するならちゃんとやってほしいものです。

 

アサギロ 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

沖田総司を中心とした新撰組の話なんですが、彼らは単なるバカ集団。
やたら腕っ節はいいただのバカどもが、立派な正論を吐く尊攘志士を斬りまくる。
こういういわばへそ曲がりな設定、好きなんですよね…。

 

保安官エヴァンスの嘘(1) (少年サンデーコミックス)

女にモテたいだけの理由で保安官になったものの、クールに振る舞うしかなくなってしまって彼女いない歴=年齢というエヴァンスの、しょうもない話。
本当にしょうもない話が延々と続くだけなのですけど、疲れ切ったときにはこのぐらいのコミックがちょうど良かったりもします。

 

ザ・ファブル」、「約束のネバーランド」、「ゴールデンカムイ」、「アオアシ」、「響~小説家になる方法~」、「昭和天皇物語」なども相変わらず面白いですが、かなりメジャーになって来ているのでここでは採り上げませんでした。
ドリフターズ」は休まないで連載のスピード上げてくれ!
では、来年もコミックが豊作でありますように。