「危険ドラッグ」プロの仕事説

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「危険ドラッグ」ネーミングがバッシングされてますね。
僕も最初は「まんまじゃないか」と思いました。そこに知恵とか工夫を感じ取れなかったので、また安易にネーミングしちゃったな、一般募集する意味なかったんじゃないのと。
でもよくよく考えてみると、これはけっこうなプロの仕事じゃないかと思い直すようになりました。
ドラッグには「合法ドラッグ」があって、「違法ドラッグ」がある。そして「違法ドラッグ」の分子構造をちょこっとだけ変えた、その中間に位置するドラッグがある。そのドラッグをどう呼ぶかってことですよね。
その「ちょこっとだけ変えた」が悩ましいところで、「全く無害」のものも存在するってこと。それをどう考えるかが最大のポイントです。

著名人もこれに関してはネガな意見一色で、有吉弘行は「殺虫剤入りのお薬」とかがいい、と言っています。でももし本当にそうしたら、国民の1千万人ぐらいはそのまま受け取るでしょう。「えっ、殺虫剤入ってんの?何それ」とか「殺虫剤って飲めるんだ」とか。もう大混乱です。
「もっと害があるってことがわかる名前がいい」「もっと恥ずかしい名前がいい」という意見も多いですね。でも害があるってわかっているのなら、「中間」を認めないでいっそ「違法」にしてしまえばいいのです。

「危険ドラッグ」は危険に憧れる若者をむしろ魅了するのでは、という意見も多いようです。が、ラリッて車で突っ込むヤツらは普通の会社員だったり、中年男じゃないですか。ドラッグに溺れる人は、ASKAもそうですけど、年配層が多数。普通の会社員や普通の主婦がストレス発散で始める例も多い。六本木のクラブでちゃらちゃらしてる若者がそういうものに手を出すのだ、というイメージはかなり古いように思います(もちろんそういうケースもあるでしょうが)。それにここのところ、危険に憧れる若者なんて僕は見たことがありません。プロ野球選手だって今の若いのは将来に備えて地味に貯金するんだよって清原和博が嘆いてました。

「危険ドラッグ」の「危険」とは「危険性がある」ってことでしょう。全く無害のもあるよ。でも、害があるのもあるよ。危険性があるんだよと。
そのコンセプトを表現したネーミングとして、非常に正しいと思います。ちょっと考えてみたんですが、これ以上正しい名前を思いつきませんでした。
プロの仕事とは、こういうものを指すのです。
厚生省は「危険」と「ドラッグ」の単語が最も応募数が多かったので組み合わせたって言ってますけど、役所的にはそういう言い方が最もお歴々や周囲を納得させられるということでしょう。
まあ、面白味はないので、世間ががっかりする気持ちも僕は十分わかります。