こうしましょう。TECDIA

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これは本にも書いたことだけど、CIというものについて実に多くの人が誤解しています。
CIとは、企業アイデンティティがその時代に合ってるかどうかを点検する作業。
もっと具体的に言うと、将来に向かってもっと効率的なビジネスモデルを構築し、それを社内外に知らしめる作業ということです。

CIコンサル会社ですらほとんどがそれをわかっていない気がします。
半年とか1年とかかけて、調査や会議を重ね、昔の電話帳みたいなレポートを提出して、企業はそれに何千万円も支払ったあげく、出て来たアウトプットは「僕らってこうだよね。世の中を良くするためにがんばってるよね」的な自己肯定スローガン。
企業側もそれで「やった感」を持っちゃうのが何とも、ハア、というかんじなのですが。
「僕らはこうだ」的企業スローガンを決めちゃうと、その企業はそこから一歩も動くことができません。
そんなスローガンはむしろ害にしかなりません。
企業スローガンをだーっと見ていくと、9割以上は害です。

企業スローガンというものは、全従業員の動きを決めるための補助線のようなもの。
「あっちに走れ」と、方向を示す旗印、ベクトルワードじゃないといけないのです。
だから、その後の活動を評価する「物差し」になれるし、従業員の「評価」に落とし込むこともできるのです。
「僕らはこうだ」スローガンでは動きも、規準も、評価も生まれません。

僕がそういったスローガンで大きく成功したのは20年前の「全てのゲームはここに集まる。PlayStation」で、これによって全ステークホルダーが自分たちはどう動くべきなのかをはっきりと認識しました。
今でも自分はCI、BIのお仕事をさせていただいてますが、やはりそれによって企業やブランドに動きが出て、成果が出る時、非常に醍醐味を感じます。
以前、TECDIAという半導体系企業のCIをやらせていただきました。
僕が提案した企業スローガンは、「こうしましょう。TECDIA」。
TECDIAはNASAやAppleにも納品している超優良企業なのですが、メーカーからの受注をこなすだけではどうしても価格競争に陥ってしまうわけで、そこから脱して付加価値を生み出すためには「こうした方がもっといいですよ」という逆提案が必須。
今後はそこを軸としたビジネスモデルに切り替えるべきであり、従業員の体質からそのようにしていこう。
そんな考えでした。

それが採用されてから1年以上経ち、どうなったかな?と気にしていたのですが、社内外に好評で、みごとに浸透しているとのこと。
社内では「おまえの『こうしましょう』を見せてくれよ」的に使われてるとか。
「おまえにアイデアはないのか」よりも言い方がマイルドで、従業員を提案体質に教育するのに役立ってるそうです。
こういう話を聞くと、非常にコピーライター冥利に尽きます。
先日、就活学生向けのイベントがあって、そこで小山社長が学生たちに話した内容を、社長の了解を得て、紹介してみたいと思います。

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こんにちは。テクダイヤの小山です。簡単ですが挨拶をさせていただきます。

今年の就職活動についての報道は、皆さんも目にしていると思いますが、「大企業狙いの安定志向」と言われています。本当かよ、とは思い皆さんの顔を見れば、そんなわけはない、という顔を見て安心しています。一生懸命勉強してきて、やっと社会に出るというときに、安定志向なんて冗談じゃない、と思っていることでしょう(うん、うん、と何人か頷く)。

こうやって皆さんの顔を見ていると、じゃぁあの報道はなんだったのか?と思います。大企業側のプロパガンダか、と(笑。ただもっとよく考えると、それは学生側に興味深い企業がない、選択肢がないということだと思うのです。もし日本にイーロン・マスクのテスラモータースが、ジャック・マーのアリババが、アマゾンが、アップルが、シャオミがあったらどうなっていたか、誰もが大手企業を目指すわけではないでしょう。つまりあの報道の真相は、日本の産業界の衰退を学生が察知しているのかと思ったわけです。もしこの推測が正しいなら、ちょっと待てといいたい。中にはちゃんとやってる企業もあるぜ、とそれが言いたくて、私は今日ここに来たわけです。

さてテクダイヤはどんな会社か。それは10分の時間では語りつくせない、だからお配りした会社パンフを持ちかえって、どうか帰りの電車や家で読み返してください。この中にはわたしの考えを出来るだけ詰め込みましたから。

たとえばこのシンプルな表紙にも意味はあります。「あなたのこうしましょうを聞かせて。」と書いてあります。もちろん求める人材像なのですが、「こうしましょう」とはどういう意味か。これはつまり、自分で考えて提案する人ということです。だからその対極は「わかりました」の人。学校で先生から、「この作業をこのようにまとめて、いつまでにレポートにして提出しなさい。」と言われるでしょう、そのときに「わかりました」といって先生の教えに従順に正確にやる人が「わかりました」の人。これだとA評価、または100点狙いの作業。作業内容はイメージできているから、100点取れずとも90点以上は固いわけです。
で、一方「こうしましょう」の人は、言われたとおりやるのじゃ面白くない、どうせやるなら自分のアイデアを盛り込んで、オリジナリティ溢れるレポートを作成しようとする人。いってみれば100点超えの130点狙い、あるいはナンバー1、オンリー1。でもリスクも背負うから、成功すれば130点獲得だけど失敗すれば60点、落第する。先生からは「おまえ、何聞いてたんだ」と頭を小突かれるかもしれない。

テクダイヤは、「こうしましょう」の人の60点は、「ナイストライ」「ナイスチャレンジ」とする。怒らない、叱るけれども未来に繋げるための説教をするわけです。そして90点じゃダメ、130点を狙いにいく事を推奨するわけです。だから「こうしましょう」の人が欲しい。

表紙の下にはTECDIAのロゴがある。その上に「こうしましょう」と書いてあります。
この垂れ幕にも「こうしましょう」が入ってる。WEBにも入ってる。余程の理由がない限り、TECDIAの社名には「こうしましょう」がくっついている。つまり「こうしましょう」は、就活生の皆さんを引っ掛けるためだけのスケベなコピーじゃなく、わたしたちも社会に対して130点狙いの「こうしましょう」をしていきますというコミットメントなわけです。

では何故リスク背負った130点を狙わねばいけないか?答えはそれがグローバル競争の勝ち方だからです。たとえばアップルが「この作業をこのようにまとめて、いつまでにサンプルを提出しなさい。」と言います。それに応えようとするのは、日本企業だけじゃなく、台湾も韓国も中国も、タイもベトナムも世界中の企業がそこにこぞってきます。そして選ばれるのは1社、たった1社だけです。95点はおろか、100点でも採用されない。そこに採用されるのは130点の企業1社だけだからです。ならば60点も100点も一緒、同じ落第。だから100点狙いの99点A評価よりも、130点狙いの60点落第のほうが賞賛されるのです。学校とは違った世界で戦うときには、「わかりました」ではなく、「こうしましょう」が推奨されるのです。その行動指針をわたしたちは社会に約束、コミットしています。

中面を開いて最初。「社長にズケズケとモノを言う・・・」と書いてありますよね。
「こうしましょう」は、あなた方学生や社会に対してだけでなく、当然社内にも推奨されています。だから帰ってからよく読んでください。

また最後のほうには、「こうしましょうの人には、人と情報がついてくる・・・」が書いてあります。この意味は、あなたたちの子どもの頃を思い返してみてください・・・・、「今度の日曜に映画に観に行かない?」「何観る?」「○○を観ようよ。」という、「こうしましょう」。他にも「次の休み時間何して遊ぶ?」「ドッヂボールにしようよ。」という、「こうしましょう」。こういう些細な「こうしましょう。」があったと思うけど、その人には仲間が集まっていませんでしたか?そして仲間が集まるから、情報が集まってませんでしたか?

そう、「こうしましょう。」を言える人には、仲間と情報が集まるんです。この仲間と情報、社会に出て成功するために絶対に必要なモノですよ。あなたたちは理系として、社会に出て何らかの社会に影響を与えるモノをプロデュースしようとしているでしょう、それって独りぼっちでやってもダメですよ、外界を一切遮断して作って、「出来た!」って穴ぐらから出てきても、そのときは他の誰かがすでに作っていたり、時代が変わっていたり。だから仲間と情報が大事なんです。テクダイヤは、「こうしましょう」をいえるようになるための、組織風土と研修がありますから。そして会社だけじゃなくて、オフ、つまりプライベートも充実するような考えがありますから。人生を最良のものにして、ワークライフバランスを大切にして欲しいと思っている会社です。

ここまで話をすると、「なんだか勢いと、精神力重視のベンチャー企業みたいだな」と思うかもしれません(笑。いや、勢いは確かにそうかもしれないけど、勢いオンリーのベンチャーとは違うんだよ、根拠ある勢いのある会社なんだよ、そうわかってほしいのがパンフを開いた中面です。ここにはテクダイヤの技術と実績が表現されています。内容はさきほど河村が説明したとおり。世界のお客様に認められた、確立した技術と事業があります。この事業でも安定、でも安泰じゃない。だからこの中面の画は、それら確立した7つの事業をぐるっとかき回して、シナジー効果を狙って、化学反応を狙って、新しい価値、つまりイノベーションを起こそうというのが戦略ですよ、って意味です。

イノベーションって陳腐化した言葉ですが、テクダイヤの場合はどうやってイノベーションを起こすか、その戦法が下に書いてある、「産業界の常識を覆す」って書いてあります。常識を覆す、ってどういうこと?なんですけど、たとえば<眠くならない風邪薬>ってありますよね。風引いているとき、困るのは生活や作業をしている日中、起きているときです。だから薬を飲むわけですが、そのかわりに、眠くなることが従来の常識だったわけです。その眠気を防ぐ調合をして<眠くならない風邪薬>としたわけです。これだと売れるわけです。みなさんがマツキヨに行って、風引いた、なんか薬ちょうだいと言うとき、たくさんあってどれを選んだらいいかわからないわけです。でもそこに<眠くならない風邪薬>がある、おおこれか、と手に取る「根拠」がそこに出来るわけです。これが新しい価値、つまり一種のイノベーションなわけです。

ほかにも例えば、<痛くない注射針>、<パンクしないタイヤ>、それから<ゆるまないネジ>なんかもその類です。そうやって新しい価値を生み出そうとしています。
実際に、従来線幅25ミクロンのパターンニングに対して、最小幅5ミクロンの技術を開発、とやるわけです。そうすると半導体業界からはリアクション薄いんですけど、正確にリアクション来るのはNASAとか。ノズルの穴あけ最小径10μとかいうと、半導体市場ではスルーなんだけど、そのかわりバイオマテリアルのほうから使いたい、とかオファーが来るわけです。そうやって社内の機能を駆使して、次々と仕掛けていこうとしている会社なんです。オモシロイでしょう?

最後に、うちはベンチャーじゃないけど、大企業でもないんです。なんで大企業にならないか。イノベーションはマイノリティからしか生まれないから。これは過去をみても殆どそう。マジョリティからはイノベーションは生まれないんです(正確には生まれにくい)。どんなキレキレでピカピカのアイデアも、大多数の手に掛かると、やれ売れなかったらどうする、やれリスクはどうだ、やれ競合を知ってからだ、とか垢がつく、そうやって垢がついたアイデアはもはやキレキレでもないピカピカでもない、だから価値をつくらない、売れない、そうなるんです。テクダイヤは、中小企業という、もっとも適正な企業サイズで、イノベーションを狙いやすい位置にいる企業だと思ってください。大きくなりたいのではなく、進化と適応を続けてずっと必要とされる企業になりたい。ダーウィンの法則も同じですよね。

是非興味を持った方は、会社説明会であいましょう。今日はありがとうございました。

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