これは新種の中元歳暮なのか?

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僕はホワイトデーというものが嫌いだ。だからお返しなどしない。しないったらしない。僕の周りの女性はみな賢明にも「お返ししてくれー」とは言って来ない。
なぜ嫌いかというと、美しくないからだ。野暮だからだ。
バレンタインデーは、まだいい。いちおう由来がある。皇帝の命に背いて兵士の結婚を祝福し殉教した聖ヴァレンティヌスの故事に因み、愛を祝う習慣が時代や国によって様々に変容したのがバレンタインデーだ。日本だけがなぜか「女性から男性に告白する」ということになっているが、そういう日を利用して告白するけなげさを美しく感じる人が多かったから定着したのだろう。
いったいホワイトデーに何の美しさがあるのか?
チョコをもらったら男はお返しをしないといけないと言う。ではそのお返しとは何なのか?愛情なのか?バレンタインデーに告白された男は、嘘でもその子を好きだよと言わなきゃいかんのか?モノなのか?もらったモノに対して返すのがルールというなら、それはただの中元歳暮じゃないか?バレンタインデー、ホワイトデーとは、中元歳暮のことだったのか?昔はせっけん、今はチョコ、そういうことなのか?だったら「2月3月のごあいさつ。贈り物はチョコがいいですね。」ってCMでも流せばいいんじゃないか?
ホワイトデーには何の由来もない。菓子業界が、2匹目のドジョウを狙ってでっち上げたものだ。男もチョコ買えと。女が勇気出して買ってるんだから、男としてもらったままというわけにはいけないでしょ、やっぱり何か返してあげないとね?返すんならこれがいいよ。やっぱ男なら3倍返しでしょ。ね?計算づくの見合い婆みたいだ。ほっといてくれ。
僕は広告学校で、マーケティングとは「付け目」を見つける作業だと教えている。時代の付け目、心理の付け目。バレンタインデーは女性心理の付け目にうまく入っていけた。それで成功した。ホワイトデーも付け目を見つけたようだが、それは、もらったら返すべき、男ならこうすべき、といった脅迫の付け目に感じる。マーケティングとして美しくないのだ。
ただ、過去、ホワイトデーも悪くないな、と思えることもあった。女性から「お返しとしてホワイトデーにデートしてよ」と誘われた時だ。
ホワイトデーのようなものの存在が認められるとして、それをバレンタインデーの延長と考えるならば、日本の場合は、「女性がもう一段プッシュする日」にしたらいいと思う。昔と比べて女性は強くなっている。だから返せ、じゃなく、だからさらにいく、とした方が自然だし笑えるじゃないか。