少子化は止まるのではないか

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こんなブログを見つけました。
「もしかして少子化問題って10年後には解決してるんじゃないの?非婚が進む30代と早婚志向な20代の溝」
http://toianna.hatenablog.com/entry/2016/05/19/170000
30代に比べ、今の20代女性は早婚傾向にあり、それによって少子化が止まるのではという内容。
もしそうであれば非常にうれしい話ですが、これには科学的にも合致する部分があります。
(ちなみにこのブログ内で紹介されている「東京タラレバ娘」はもう好きを通り越して愛してるぐらい面白いです)

生物にとって身体とは遺伝子の乗り物に過ぎず、全ての生物の目的は自分の遺伝子を残すこと、と喝破したのはドーキンスの「利己的な遺伝子」ですが、人口動態や社会問題は人間ならではの「遺伝子の残し方」に影響を受けていると言えます。
なぜ先進国が少子化傾向にあり、途上国が人口爆発するかというと、乳幼児死亡率が大きく関わっていると考えられます。
原始時代、女性は常に妊娠中でした。
産んでは妊娠、産んでは妊娠を繰り返していました。
その理由は、大多数の子が乳幼児期に死んでしまうからです。
しかし医療の技術が進み環境が整ってくると、子どもがどんどん増えていくことになります。
先進国では「これは増え過ぎだ」ということで次第に産まない方向に逆振れしていきます。
これが少子化のベーシックな要因と言えるでしょう。

先進国では自殺が大きな社会問題となっています。
実はデータを見ると、兄弟のいる人ほど自殺する傾向があるのです。
つまり、「自分が死んでも兄弟が自分の遺伝子を残してくれるだろう」という無意識が安心(?)させてこの世を去らせる動機になっているという仮説が立てられるわけです。
逆に独りっ子は自殺しない傾向にあります。
僕は独りっ子ですが、子どもは3人持とうと決めていました。
今の家を建てた時にはまだ2人しかいませんでしたが、それでも子ども部屋は最初から3部屋用意しました。
幼少の頃から感じていた兄弟のいない寂しさを自分の子どもたちには感じさせたくない、と思っていたのですけど、もしかするとそういうことよりも、自分の遺伝子が途絶える可能性を減らすために子どもを多く作っておこうという本能が働いているのかもしれません。
ちなみに仕事でキャパオーバーになった時などに「死にてえ!」と思うことはよくありますが真剣に自殺を考えたことはないです。

そういった個々人の本能は、大きなトレンドになったりもします。
先進国でも大きな戦争や重大な伝染病などで人口減少が起きるとベビーブームがそれに続きます。
兄弟や近親者の死に直面することによって生じる、「自分ががんばらなければ」的動機が社会全体のトレンドとなるのでしょう。
日本で最大ボリュームの団塊層は戦争直後生まれの人たちです。
増えすぎると減らす方向に、減りすぎると増える方向に、を繰り返しながら人間は自分たちの遺伝子を残そうとするわけですね。
そして少子化は、ある意味では戦争や伝染病などの災禍のように、兄弟がいなくなる、近親者がいなくなる状況に多くの人たちを直面させます。
そういう状況下の人たちは、生物としての本能仮説に従えば、1人でも多く子どもを作ろうという欲求を持つことになります(僕もそうかもしれません)。
日本の自殺者が年々減少しているデータを見ても、少子化の逆ブレ、「遺伝子残そう」トレンドにまた戻り始めている兆しが見えます。
残念なのは、団塊ジュニアという第二の人口ボリューム層が出産適齢期を過ぎつつあることです。
彼女たちがアナトミックな理由で出産できなくなる前に国は何らかの対策をしておくべきでした。

日本はもはや若い女性陣のがんばりに期待するしかないわけですが、NHKのアンケートによれば少子化対策のためなら税負担を受け容れるという人が多数派でした。
彼女たちと社会がすでに合意形成できているとも言えるわけですから、若いママたちの負担を皆で減らし、ブレーキを解除する仕組み作りがまさに喫緊の課題であると思います。