np.無料広告学校に受かるには

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np.無料広告学校13期の応募書類をざっと見させてもらいました。
これから具体的な選抜の打合せを経て受講生を決定することになりますが、これはオンラインではかなり無理があり、自粛要請明けを待つことになります。
なので、連絡は6月頭を予定してます。
応募された方々はヤキモキされるかもしれませんが、ご了解ください。

さて、応募書類を見ていると、「もう3度目の応募になります」といった方がよくいらっしゃいます。
僕も情というものがあってそういう方はやはり優先的に選びたいな…と思うんですけど、どうしても選べなかったりするんです。
そこに、
「選ぶ理由が何もない」
からです。

おそらく、根本的なことで「選ばれ方」がわかってないのだろうなと。
競争社会の中で、「選ばれ方」がわからないとかなりつらいことになります。
広告業界で大きな仕事を獲得するためには競合プレゼンに勝たねばなりません。
社内の打合せですら一種のコンペと言えます。
まずは企画打合せでCDに案がピックアップされる。
それがクライアントに提出され、いくつかの中から選ばれる。
トーナメント戦のようにコンペに勝ち抜いていくことで、自分の案が自分の名前と共に世に出て行くわけです。
僕は新人の頃からネーミング案やコピー案がカタチとなっていきましたが、先輩たちの案を押しのけて自分の案が選ばれるためにはどうすればいいか?そればかりを考えていた結果として、いまの自分があります。

もしもnp.無料広告学校の受講がその人の将来にとって意味のあることならば、ここで選ばれなければ仕事人生のトーナメント戦で早くも脱落ということになります。
なので、僕が応募者の中からどのように受講生を選抜しているのかをここに書いてみます。
選抜の基準はHPに載せていますがそれはどちらかと言えばタテマエ的なところがあって、ここに書くのはあまり表には出さない正味のところです。
応募締め切りの直前ならば、応募者本来の資質に下駄を履かせることになるのでアンフェアになりかねませんが、応募を締め切ってからであれば構わないでしょう。
受講に限らず、人生における他のコンペにも通ずるものが見つかるかもしれません。

まず、目立たなければ始まりません。
履歴書に必要事項を書いて、それだけを送ってくる人は多いですが、なぜそのようなことをするのか全く不可解です。
書式を整えれば誰でも受講できるものなら、それでいいでしょう。
あるいは、宝くじのように当てずっぽうで選ばれるものでも、そういった最小限の労力が無駄がなくていいはずです。
でも、僕らが何らかの基準を持って選ぶわけです。
そこにかなり高い倍率があるのはわかっているはずです。
であれば、そこに選ばれる理由は何もないことになります。
「他の応募者とはちょっと違うぞ」と思わせて初めて、選ばれる俎上に乗ることになります。
そのために、自分の履歴書をオリジナルの秀麗なデザインにする人もいれば、絵本のようにしてくる人もいます。
そうすれば、少なくとも「受かりたい」という気持ちは伝わります。
必要事項だけを送ってくる人から、いったい何が伝わってくるでしょうか?
ものすごく立派な書類を作ればいいということではないし、紙切れ一枚ではダメということではありません。
紙切れ一枚であってもそこに書いてある文章の中に光るものがあれば、それはそれで他とは違う、目立つ存在になり得ます。
要は、自分が他とは違う存在であることをどこでアピールするか、その意識がなければ全く歯牙にもかからないということです。

次に、キャラクター。
1年近く、毎週のように会うことになるのですから、イヤなヤツは選びたくないです。
会っていて気分の良くなる人がいい。
僕らがどうやって高いモチベーションを持ち続けるか、は大きな問題であって、これが切れてしまったら学校じたいが存続できなくなります。
あわよくば、自分にない知見を得られる人ならさらにいい。
なので応募者は、自分がいかに全体の輪を乱さず協力的で、いいムードを作れそうか、そして、他の受講生にない経験、知見を持っているか、というアピールをすべきです。
実務においてもキャラクターは非常に重要です。
競合プレゼンといっても企画書だけを見ているわけではありません。
「彼は仕事しやすそうだ」という印象は決定的なものを与えます。
「仕事しにくそうだ」と思われれば勝ち目はありません。
これまでとは違う新鮮なアイデアを出してくれるんじゃないか、とか、ややこしい事情も乗り越えてくれるんじゃないか、とか、プラスのイメージを醸し出せなければ、いくら実務の能力が高くても引き上げてもらえません。
業界には「イメージばかり」の人も多くて困るのですが…。

最も大事な要素は広告との関係性です。
「プロダクションで唯一のクリエイティブ職だが、何が良いクリエイティブか一人で判断するのが苦しい」。
これはその人と広告との現在の関係性を表しています。
「いまは営業職だがクリエイティブ職に転職したい」「クリエイティブ職に興味はないが営業としてクリエイティブ力は身に付けておきたい」は、似ていますが関係性が全く異なります。
その人と広告との関係は様々なものがあります。
僕らができることは、その関係性に何らかの作用をすることです。
関係性によっては、1年間通っても全く無意味、ということもあり得ます。
ああこの場合は何らか役に立てるかもしれないな、と思った時、じゃあ通ってもらってもいいか、となるわけです。
いくら他より目立つ努力がなされていて、キャラクター的に好感が持てるものであっても、ここがスカスカだと選びようがなくなります。
実務に例えるならば、プレゼンの冒頭で、やれこのCDはどこそこで賞を獲った、このプランナーはどこそこで話題になっている、といった御披露目をするチームは多いですけど、肝心の提案がピント外れだったら「ただのハリボテかよ」で終わる、そのようなものです。

最後に、僕らは受講生全体の多様性を考慮します。
コピーライター志望者だけが固まるよりも、営業職がいたり、広告とは全く関係ない飲食業の人がいたり、学生がいたり、外国籍の人がいたり、など、多様な方が受講生同士でいろんな刺激を与えあえて、それもまた学びになると思うわけです。
これはもうその人の現在地によるので、どうしようもできない要素ではあります。
しかし、自分のポジションを知った上でどのようなアピールをするかを考えることは大事です。
コピーライターの新人、デジタル系の新人が多いのは想像つくと思いますが、その中での競争率は高くなりますので、「その中で」自分が他とはどのように違っているのかを表現しなければいけない、そのように意識すべきということです。

繰り返しになりますが、仕事人生は大小コンペの連続のようなものです。
その一つ一つで自分が、自分のアイデアが、どう選ばれるか。
常日頃からそこに気を遣っていなければ、埋もれてしまいます。
人はバケるものなので、詰まった栓が抜けるようにある思い込みが解かれれば、例えば「履歴書の書式を無視してもいいんだ!」とわかっただけでガッといろんなアイデアが吹き出てくる、といったことがあると思います。
そんなことを期待して、ちょっと書いてみました。