コピーライターにお薦めの本

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コピーライター志望の若い人たちから「どういう本を読んだらいいか」と訊かれることが多いので、いくつか推薦しようと思う。
最近の僕の実感では、「キャッチコピーしか書けない」若い人がとにかく多い。前回のブログでも書いたけど、商品の価値をしっかり表現し、ターゲットの気持ちにきちんと届ける「商品コピー」をどう書くか、ということがわからない。コピーライターは、まず、チラシ、パンフレット、商品POPなど、売りの現場に最も近いところにあるコピーを書けないといけない。マス広告のキャッチコピーは文字通り、ただの掴みでしかない。購入というアクションにどうつなげるか、そっちのコピーを書けることこそがコピーライターの力量であって、それができないと仕事は来ないと考えておいた方がいい。そこで僕が若い人たちにお勧めしたいのが、
「ザ・コピーライティング」(ジョン・ケーブル)http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E2%80%95%E5%BF%83%E3%81%AE%E7%90%B4%E7%B7%9A%E3%81%AB%E3%81%B5%E3%82%8C%E3%82%8B%E8%A8%80%E8%91%89%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87-%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%AB%E3%82%BA/dp/4478004536/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1339900568&sr=1-1
通販コピーの神様のような人がコピーの書き方についてまとめた本。初版は80年前に出版されたもので内容は相当古いが、今でも勉強になる部分はかなりある。日本のコピーを集めたいわゆる「ベストコピー集」のような本は、単にレトリックが面白いというだけのものもかなり混ざっている。「コピーで売る」ということの本質が知りたいのなら、こういう本の方がはるかに役立つと思う。
それから、
「新・名作コピー読本」(鈴木康之)http://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E3%83%BB%E5%90%8D%E4%BD%9C%E3%82%B3%E3%83%94%E3%83%BC%E8%AA%AD%E6%9C%AC-%E9%88%B4%E6%9C%A8-%E5%BA%B7%E4%B9%8B/dp/4416787537/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1339901693&sr=1-1
コピーライターの実力はボディコピーに現れると言われるが、この本は過去の優れたボディコピーを集めたもの。僕は、うまいボディコピーは音楽に似たところがあると思っている。イントロがあって、AメロBメロがあって、サビがある。全体を通じた心地よいリズム感で読者を気持ちよく、その世界に浸らせる。TVCMも新聞広告でも何でもそうだけど、広告はそれを観たり読んだりする人がしんどいと思うようなものであってはいけない。読者を広告に心地よく引き入れる技術とはどういうものなのかがよくわかると思う。
ちょっと毛色が違うけども、じっさいにコピーを書く時のネタ本として、
「売るコピー39の型」(有田憲史)http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E5%A3%B2%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%82%B3%E3%83%94%E3%83%BC39%E3%81%AE%E5%9E%8B-%E6%9C%89%E7%94%B0-%E6%86%B2%E5%8F%B2/dp/4798116696/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1339902243&sr=1-1
「バカ売れキーワード1000」(堀田博和)http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%82%AB%E5%A3%B2%E3%82%8C%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%891000-%E5%A0%80%E7%94%B0-%E5%8D%9A%E5%92%8C/dp/4806133809/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1339903627&sr=1-1
これらはマス広告と言うよりも販促コピーのネタ集。こういった本はプロではなくお店の人や中小企業の販促部など、素人をターゲットに想定しているのだろうが馬鹿にしたものでもない。そのまま引用するだけでもコピーとしてカタチになるし、発想の刺激にもなる。自分の狭い引き出しでちょろっと考えてすぐ降参、みたいなコピーライターよりも、こういう本からのパクリでも何でもあらゆる可能性を試してくるコピーライターの方が使えるし実力も上がっていくと思う。
コピーを書く時に直接参考になるわけではないけども、この本は読んでおいて損はない。
「影響力の武器」(ロバート・B・チャルディーニ)http://www.amazon.co.jp/%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E5%8A%9B%E3%81%AE%E6%AD%A6%E5%99%A8-%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E7%89%88-%E2%80%95%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%80%81%E4%BA%BA%E3%81%AF%E5%8B%95%E3%81%8B%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BBB%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8B/dp/4414304164
僕は10年ほど前にこの本に出会って、仕事観が変わるほどの衝撃を受けた。人は、無意識に影響を与えたり受けたりしている。たとえばギフトを贈る時、それが純粋な好意からのものだったとしても、相手はそれに影響を受け、心は拘束されてしまう。セールスも、宗教勧誘も、詐欺も、そういう無意識の影響を意識化して手法にしたものだ。広告もしかり。ただ、広告は、商品でターゲットを幸福にできると信じられるから悪徳業者と(ギリギリのところで)いっしょにならずにすんでいるのだろうと思う。
そして、もう言わずもがなだけど、マストバイの一冊。
「欲しいほしいホシイ」(小霜和也)http://www.amazon.co.jp/%E6%AC%B2%E3%81%97%E3%81%84-%E3%81%BB%E3%81%97%E3%81%84-%E3%83%9B%E3%82%B7%E3%82%A4%E2%94%80%E2%94%80-%E3%83%92%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9C%AC%E8%83%BD%E3%81%8B%E3%82%89%E5%BA%83%E5%91%8A%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%81%BF%E8%A7%A3%E3%81%8F%E3%81%A8-%E5%B0%8F%E9%9C%9C%E5%92%8C%E4%B9%9F/dp/4844328719/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1339904948&sr=1-1
「影響力の武器」以降、ノーベル賞を獲った行動経済学など、人の不合理な経済活動に焦点を当てることがブームになった。が、それらはある種の統計学であって、なぜ人は不合理なのかまでは解き明かしていなかった。その鍵となるのが進化心理学だ。人の心理はサバンナで暮らしていた狩猟採集時代に作られている。それが今も残っているから、現代社会との歪みが起きてしまう。そこを押さえていれば自分たちが何者なのか、広告で人を動かすとはどういうことなのかが根っこの部分からわかると思い、本にまとめてみた。