山口達也事件に思うことぜんぶ

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もう十年以上前になりますが、TOKIOの楽曲のCMを作ったことがあります。
彼らはホント無邪気なヤツらで、良い意味で子どもでした。
松岡君がガキ大将、それをクールに眺めている長瀬君、というかんじ。
撮影で「ヨーイ、スタート!」て監督が言うと、演技した後で松岡君がやって来て、
「なんかスタートって飽きちゃって、どうもやる気がでないんですよ。違う言い方してくれませんか」
「違う言い方ってたとえばどういう?」
「うーん…牛丼とか?」(メンバー爆笑 長瀬除く)
「うーん…わかりました。ヨーイ、牛丼!」(爆笑して演技にならない)
みたいなノリ。
それとは別にメンバーの何人かとプライベートで飲んだこともありましたが、普通に愉快に飲んでました。
単に気のいいヤツらなんです。
確か山口君もいたんじゃないかな。
あれからずいぶん経つけど、いつどこでこうなっちゃったかなあと。
あの頃からそうだったんだろうか。
TOKIO4人の会見を見て、いろいろといたたまれない気分になりました。

TOKIOが通常のバンドなら、ベースを新しい人に替えればまあ、活動は継続できます(リッチー・ブラックモアは首切り魔王と呼ばれるぐらいレインボーのボーカルを次々と替えましたよね)。
ジャニーズでメンバーが「抜ける」はあっても「替える」は聞いたことがない。
やはりそこはアイドルだから、仲間の連帯や友情という夢を壊すことになるからでしょうか。
彼らもバンドではあるがアイドルです。
その進退窮まった辛さがわかります。

「Rの法則」は、毎回録画して、たとえば「ラノベでキュンと来る台詞ランキング」とか面白そうなものはチェックしてました。
へー、そんなのがウケるのか、と。
山口君は僕のようなオッサンの代弁者としてMCをやってくれていたと思います。
良い意味で枯れた、相談役として頼れる兄貴分、という存在でしたね。
それを裏切った罪、これが最も重いように感じます。
やっぱり大人は…と不信感を増した子どもたちは多かったかもしれないからです。
政府広報は毎年、未成年を対象とした性被害に遭わないためのコミュニケーションを行っています。
たとえばSNSリテラシーの向上啓発とか。
ここでいうリテラシーとは、SNSで騙されない知識、という意味です。
SNSの匿名性を利用して、女子中学生や女子高生のふりをして仲良くなり、言葉巧みに下着姿とかヌードの自撮り写真を送らせるオッサンたちがいるんですよね。
仲間のように見えても、実はそうじゃない場合があるよ、気をつけなさいよ、と。
なんだかそれに近いものを感じてしまいました。
番組の継続は難しいんじゃないでしょうか。
NHKの怒りはわかります。

最近、タレント費が高騰気味です。
タレント事務所と契約を結ぶ際、キャスティング事務所が中に入るのが通常ですが、彼らのフィーは契約金の1~2割が相場と言われています。
ただここはブラックボックスで、実際にどのくらい取っているのかはわかりません。
それがどうも、4~5割も抜くケースがあるようなのです。
その理由は「不祥事が多すぎるから」。
タレントが不祥事を起こすと、制作中の映画やドラマは良くて再編集、最悪はお蔵入り。
TVCMは契約打ち切りで新タレントの新CMをすぐに作ることになります。
いろんな企業や関係者が莫大な損失を被ります。
契約上は、その損失を補填すべきはタレント事務所です。
が、そうすんなりとはいきません。
現実は、うちはこれだけ泣くからそっちはこれだけ泣いてくれないか、みたいなことになります。
金銭だけで解決する問題とも言えません。
タレントと契約するということは、そのタレントがブランドや企業の「顔」になるということです。
だからタレントのイメージ毀損はブランドや企業のイメージ毀損につながります。
僕の場合は幸いなことに、これまで契約中のタレントさんが問題を起こすということはありませんでした。
運に恵まれていただけです。
だってその人がどんな人か知りようがないですから。
でももし何らかの不祥事があれば、理不尽ではありますが、クライアントは「このタレントを提案したヤツが悪い」と怒りの矛先をこっちに向けたことでしょう。

タレントは「みなし公人」であるとされます。
世の中に対して影響力が大きい人、という意味です。
タレントの皆さんはそこを再認識していただきたい。
タレントはやはりどこまで行っても偶像であると思います。
それをやり切る覚悟が必要です。
昔のタレントは生活者の求める偶像をきっちり演じ切っていました。
アイドルは恋愛もしなければ、ましてやウンコなどしないのだ!と。
そんなことを皆で共有してたのです。
昨今は等身大でがんばるタレントに親近感を抱く人が増え、映像上のイメージと実際の人物の差がどんどん縮まっていってる気がします。
とは言え、それはそれで偶像なのです。
そこをとことん、死ぬまで演じ切っていただきたいと切に願います。