WHY「凹若会」

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先日、「凹んでる若いクリエイター誰でも俺が奢ってやる会」の第2回目をやった。全部で32人の凹んでる連中にメシとカラオケを奢った。当初の予定では、居酒屋で飲み食いした後VIPなカラオケルームに行って終電までには解散、だったのだけど、結局朝まで飲んでしまって家で吐いた。
僕は広告学校も無料でやってるし、なんでそんなに若い連中のためにタダで時間取ったり奢ったりするのか?と不思議がられることがあるけど、つまりは「罪悪感」が動機なのだと思う。
日本は多数決の国だ。だから、人口の多い世代ほど有利なようにできている。
フジが韓流ドラマばかりやっている理由は、若い世代はピンと来ないだろうけど、最も人口の多い60代の趣向に合わせているだけだ。 マーケティングだ。僕らは人口的にはやや少ない世代だけども、それでもまだ若い頃は、TVでも音楽でも何でも自分たちをターゲットにしているシグナルをビンビンに感じていた。自分たちがカルチャーの中心にいる実感があった。今の若い世代はそうではないだろう。「TVが面白くなくなった」と言われるが、それは、そう言っている人向けの番組をやらなくなったということだ。若い世代向けの商品、カルチャーは、AKBやアニメ、ソーシャルゲームなど、たくさんのお金を消費してくれる個人、つまりはオタクを一本釣りしようということで、全体に向けてのものではない。お金を使わない若者は無視なのだ。
経済的にも、若い世代は割を食っている。
政府の借金は膨らむ一方だが、その恩恵を受けてきた人たちは借金を残したまま死んでいる。いわば逃げ切りだ。もし父親が借金を作るだけ作ってあの世へ行ったらあなたはこう言うだろう。「親父、借金返してから死ねよ!」って。 家族なら相続放棄すれば子供が借金を返す義務はない。しかし今の若い世代は見知らぬ他人が作った借金をこれから返していくことになる。僕は「返済税」を設けるといいと思う。世代によって借金で受けた恩恵はまったく違うのだから、それを計算して世代別に決められた額を税として課すのだ。それが公平というものだろう。大勢の爺婆がハコモノやバラマキで無駄に作った借金を、小勢の若者たちに背負わせるのがまともなやり方かどうか、少し考えればわかるはず。
でもそうはならないのだ。なぜなら、繰り返しになるけども、日本では人口の多い世代ほど有利だからだ。そして、そういう世代ほど恥を知らないのだ。
実感値では、若い世代ほど恥を知っているし、礼儀正しい。こないだ、コピーライター職の募集をした。HPとツイッターで告知しただけだが、あっという間に30名ほど応募が来たのですぐに打ち切った。その中から1人を選ぶ。1人を選ぶ、というのは29人を落とすってことだ。課題に対する回答案を精査して、実力が達していないと判断した人たちを次々と落とす。その理由を書いたメールを出す。これははなかなか精神的にこたえる作業だ。いわば不幸を作っているわけだから。気持ちがやさぐれてしまう。しかし、落とされた人たちのほとんどは返信してきてこう言うのだ。「自分の表現に講評してもらえてうれしかった」と。礼を言ってくるのだ。それでどれほど心が救われたか。
礼儀正しすぎる、とも思う。「なんで俺の価値がわからないんだー!」って突っかかってくるぐらいのヤツがいてもいいと思う。「凹若会」に参加した若者たちも、楽しそうにはしていたが、おとなしい。勝手にイッキやってゲロ吐くようなヤツはいなかった。そのおとなしいヤツらが、道端で平然と痰を吐くような連中の借金を返すんだと思うと、またメシでも奢ってやろうかなという気になるのだ。