えらいぞ!リッツカールトン

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先日、初めて東京ミッドタウン内にあるホテル、リッツカールトンに行きまして。
ある会社の社長さんからお仕事のご依頼があって、そのランチミーティングでロビーにある和食屋さんに入ったのですが。
そこでちょっと、というか、かなり感動したんですね。

仲居さんがですね、料理を運んで来る。
それをテーブルに並べた後、そのまま黙って立ってるんですよ。
で、社長が
「お願いします」
って促すと、初めて口を開き、
「ではお料理の説明をさせていただきます」
と言って、どれが何という魚でどういう食べ方をするのか、といった解説を始めるんですよ!
もしかすると高級店ではそれが普通で、これまで自分がそのレベルの店に行ってなかった・・・というだけかもしれませんが・・・。
じつに感じ入ったわけです。
「おれが求めていたものはこれだ!」
と。

僕がどなたかと会食するときはやはり商談と言いますか、仕事絡みになることが多いのですが、どんな店でもほぼこのような ↓ 感じです。
「じつは小霜さんね、ちょっとこういう話が出てましてね」
「どういう話でしょう」
「近々、社長が替わるんですよ」
「へえー、それは初耳です」
「それでうちの体制も大きく変わるんですけどね」
「なるほどそうでしょうね」
「でね、今日の本題なんですが・・・その新社長からの指示で新し」
「お料理のご説明をさせていただきますこちらはミズダコでして北海道で捕れたものでこちらのポン酢で召し上がっていただいてもいいですしこちらのわさび醤油でもかまいませんこちらの鰺は淡路島で捕れたものでしてこちらの生姜醤油でお召し上がりくださいこちらの鯛は明石で捕れたものでうんぬんかんぬん」
「これはポン酢で、これは生姜でね、あーハイハイ」
「これはこっちで食べるんでしたっけ」
「そうです」
「それで、新社長の指示のお話でしたよね」
「あーそうそう、それなんですけど、新し」
「お料理のご説明をさせていただきますこちらは黒豚でして黒豚と言えば鹿児島が有名ですがこれは宮崎の黒豚でして食べ方はうんぬんかんぬん」

うるさいよ!
ポン酢だろうと生姜だろうとどうでもいいよ!
タコの捕れた海が北海道だろうとモーリタニアだろうと気にしないよおれは!
と叫びたいところだが、そんなことを言葉にすると相手が
(小霜さん、心の狭い人だな…)
とか、
(小霜さん、食事へのこだわりがないのか…そんなんでクリエイティブできるのかな…)
とか思うかもしれないじゃないですか…。
だからひたすら耐えるしかない…。
なんたる理不尽な状況…。

僕は以前、ある仲居さんに聞いたことがあるんですよ。
なんで客の会話を遮って、いきなり料理の説明始めるのと。
客によっては迷惑かもしれないじゃないですかと。
そしたら彼女が言うことには、店の方から、
「たとえ客が嫌がっても料理の説明はきっちりするように」
と命じられてるんですって。

僕は全ての料理店に言いたい。
「リッツカールトンを見習いなさい」
と。
仲居さんの働く効率もあるだろうから、さすがに黙って立ってるのをそのまま見習ってくれとは言いませんよ。
でも、
「料理のご説明をしてもいいですか」
って聞いて、
「それはいいです」
と言われたら、そのまま戻るとか。
そのぐらいのホスピタリティは見せてほしいな。

今後、重要な商談はリッツカールトンの和食屋。
自分はそう心に決めました。